作曲やDTMを教えるのって本当に可能?

2025年5月9日 投稿者: author 0

今まで何度となく「作曲・DTMを教えてほしい」という相談をいただきましたが、まず、作曲やDTM(デスクトップミュージック)は、単に知識や技術を伝えるだけでは習得が難しい分野です。実際に良い楽曲を作れるようになるには、個人の感性や創造力を引き出し、継続的に試行錯誤を重ねる必要があります。
要するに、自分自身や自分の哲学との戦いでもあります。作曲やDTMは、単なる技術や知識の習得だけでなく、自分の中にある感性や考え方をいかに磨き、表現に落とし込むかという、根本的な部分と向き合う作業です。自分の音楽に対する価値観やスタイルを築き上げ、それを追求し続ける忍耐力や自己理解も大きな要素となります。異なる環境やツールの違いに柔軟に対応しながらも、自分のこだわりや理念をしっかり持つことが、結果として唯一無二の音楽を創り出す原動力となるのです。結局のところ、自分自身の内側と対話し続けることが、上達や創作の深さを生み出す最も重要な鍵と言えるでしょう。

また、音楽は感情や経験に深く根ざしたものであり、一人ひとりの感じ方や表現方法が異なるため、「こうすれば必ずできる」という単純なルールは存在しません。そのため、レッスンや指導においても、一定の指導方法を示したとしても、最終的には本人が「納得し、楽しんで続ける」ことが大切なのです。

また、講師と受講者の使用環境が異なる場合も、理解や習得の難しさが増す要因となります。例えば、教室やスタジオの音響環境と、自宅のパソコンやヘッドホンでは、音の感じ方やきこえ方が大きく異なるため、指導内容の伝え方や練習の取り組み方にズレが生じやすいのです。
使用している DAW や楽器、入力デバイスも異なる場合は、操作のやり方や音色の調整に違いが出てきます。それによって、同じアドバイスや指示を出しても、効果的に伝わらなかったり、実現が難しくなるケースもあります。

そこで、私自身の経験を活かし、少しでも理解を深めてもらうために、実際の作業の様子をライブ配信でお見せしました。生の現場を見ることで、ただ理論や操作方法だけではつかみにくい、創作の流れや思考の過程も伝わると考えたからです。画面越しに作る工程を見てもらうことで、自分なりのやり方やアプローチを見つけるきっかけになればと思いました。

もちろん、すべてを完全に再現するのは難しいですが、重要なのは「やりながら考える」こと。作曲やDTMは単なる技術の習得だけではなく、実際の制作現場に近い環境で試行錯誤することで、ようやく理解や感覚が養われるものです。ライブ配信では、その場での思考の流れや、失敗したときにどう修正していくかといったリアルなやりとりもお見せしました。


5月3日のゴールデンウィーク中に行ったこの配信(動画)では、作曲やDAWの基本的な考え方である「守破離」を、初心者の方にもわかりやすく紹介しています。具体的には、季節の歌である「こいのぼり」の打ち込み作業を通じて、まずは基本のルールやパターンを守る段階(守)、次にそれを応用しながら自分なりの工夫を加える段階(破)、そして最終的に自分のスタイルを確立し、独自の表現に昇華させる段階(離)へと進む過程を解説しました。

初心者が最初に取り組む段階では、完璧を求めすぎず、まずは原曲に忠実に再現しようとすることが大切です。特に、「こいのぼり」のメロディを1コーラス打ち込むだけでも、100点満点中2000〜3000点です。基本的な操作や音符の配置、タイミングなどを理解することができ、達成感を得られるはずです。この段階では、間違っても構いません。大事なのは、手を動かしながら音楽の流れや構成を体感し、自分の感覚を養うことです。

最初の一歩として、原曲に忠実に作ることで、「これが正解だった」と自信を持てる経験が、次の創作意欲や応用力を育む土台となります。こうした基本をしっかり抑えることが、後々のアレンジや表現の幅を広げるための基盤になるのです。何よりも、「まずはやってみる」ことが、作曲やDTMの習得においては最も重要なんでしょうね。

動画中の「破」と「離」はめちゃめちゃ遊びまくってますね笑