まさかレコーディングをやるなんて…
2025年12月19日皆さま、いかがお過ごしでしょうか。 ここのところNPOの活動に比重を置いていたこともあり、個人事業(作曲家・音楽家)としてのこちらのWebサイトがすっかりご無沙汰になってしまいました。
2025年も締めくくりということで、今年、私の音楽家としての活動の中で最も大きな挑戦となったプロジェクトについて振り返りたいと思います。
きっかけは、5月の相談から
事の始まりは今年の5月。宮城県利府町の老人クラブの方からいただいた1件のご相談でした。 「来年、団地が20周年を迎える。その記念にオリジナルの盆踊りを作りたい」
このお話を聞いたとき、直感的に「面白い企画だ!」と身を乗り出したのを覚えています。しかし、その先に待ち受けていた制作の道は、想像以上に険しいものでした。
「絶妙なバランス」を求めたメロディ作り
今回のリクエストで最も難しかったのは、そのターゲットの広さです。 「子どもからお年寄りまで口ずさめること」 「若い人には遅すぎず、お年寄りには早すぎないテンポであること」
この一見相反する要素を両立させるには、極めて繊細なバランス感覚が求められました。老人クラブの担当者様とは何度も打ち合わせを重ね、メロディの手直しを繰り返しました。時には、時間をかけて作り込んだ原曲を一度白紙に戻し、一から書き直すことも。
納得のいく「20周年の音」に辿り着くまでの試行錯誤は、作曲家としての技量を試される貴重な時間となりました。
音楽人生で一番の重労働?公民館での20名レコーディング
さらに今回は、普段の業務範囲を大きく超える挑戦がありました。 当初の作曲のみという予定から、「ボーカルとコーラスのレコーディングもお願いしたい」というお話をいただいたのです。
正直に申し上げれば、この時のコンディションは最悪といっていいものでした。インフルエンザが解熱してわずか数日。病み上がりの体に鞭を打ち、向かった先はプロ仕様のスタジオではなく、公民館の一般的な練習用スタジオです。
そこに集まったのは、子どもから高齢の方まで総勢20名。 「専門外の業務」「スタジオではない環境のハンデ」「大人数のディレクション」。 これまでの音楽家人生を振り返っても、これほど高難易度な条件が揃った現場はなかったように思います。
手探りで行き当たりばったりの対応を迫られる場面もありましたが、必死に食らいつき、なんとか全員の声を録り終えたとき、心の底から「よくやったな、自分」という言葉が漏れました。
腰を据えて仕上げる、年末年始
今回の経験を通じて得たのは、「人生、できないことは多くあれど、やれないことはない」という、妙に腑に落ちる実感でした。
現在は、その時に録音した膨大な音源と向き合い、ミックス・マスタリングの作業に入っています。あの過酷な現場で、皆さんが一生懸命に吹き込んでくれた歌声。そのエネルギーを最高のかたちで届けるために、この年末は腰を据えて、最後まで丁寧に音を紡いでいこうと思います。